量子ビームテクノロジー研究室では、鋭い金属探針の先端で起こる電子放出、イオン化、表面反応を研究しています。電界イオン顕微鏡では、探針先端を構成する原子の位置を一つひとつ観察できます。私たちは、先端構造をナノスケールから原子スケールまで制御し、そこから放出される電子・イオンの電流、エネルギー、スピン、質量電荷比を評価しています。

もう一つの大きな特徴は、研究に必要な装置や計測環境そのものを開発することです。超高真空装置、高電圧・信号処理回路、検出系、制御ソフトウェア、解析プログラムを一体として設計・改良し、既存の方法では捉えられない現象に挑みます。

実際に研究室で開発している電界放出型電⼦・イオンエミッタとよばれ,⾮常に鋭い⾦属の針です。その先端の構造モデルを下に⽰しています。電界イオン顕微鏡像と呼ばれ,明るい輝点の 1 つ 1 つがエミッタ先端の原⼦の位置が観察されています。その先端の構造を 100nm 程度から数個の原⼦まで制御し,そこから放出される電⼦ビーム,イオンビームの特性(電流,エネルギー,スピン,質量電荷⽐)を評価しています。当研究室の評価装置のほとんどが独⾃設計されたもので,装置開発や改良において電気・電⼦回路設計,制御ソフトウェア開発,真空部品の設計を通じて,ものづくりの体験と問題解決能⼒を得てもらいます。

主な研究テーマ

電界放出電子源の開発

探針先端のナノ構造を制御し、明るく指向性の高い電子ビームを実現する研究です。電子顕微鏡や高性能電子源への応用が期待されます。

表面反応とナノ構造形成のその場観察

酸素や水などのガス雰囲気中で起こる表面反応を調べ、探針表面のエッチングやナノ突起形成の仕組みを明らかにします。

電界イオン顕微鏡・アトムプローブによる原子レベル解析

表面や先端構造を原子レベルで観察・分析し、材料の構造と機能の関係を理解します。

スピン偏極電子源と新機能電子源の探索

磁性材料や特殊表面構造を利用し、スピン情報をもつ電子放出や新しい電子源の可能性を探ります。

実験装置・計測システムの開発

真空装置、検出器、信号処理回路、制御ソフトウェアなど、研究を支える装置そのものの設計や改良にも取り組みます。